仕事を探す(その7 パーマネントとコントラクター)

面接の話に進む前に、パーマネント(Permanent)とコントラクター(Contractor)の話をしておこうと思う。

それぞれ「正社員」「契約・派遣」と訳してしまうと、日本の事情しか知らない人には、先入観が入ってしまうので、今回はカタカナにする。

日本と同じように、IT業界では同じチームにパーマネントとコントラクターの人が一緒にほぼ同じ仕事をしているのは珍しいことではない。日本との一番の違いは、

同じ仕事ならコントラクターのほうが手取り収入が多い。

ということだ。

パーマネントの特徴

  • 期間を決めずに雇われている。
  • 簡単には会社の都合でやめさせられることはない。
  • 年額で報酬が決まっている。
  • 年4週間の法定有給休暇、傷病休暇、その他会社の福利厚生がある。
  • 所得税・KiwiSaver(積立年金)は原則として天引き。
  • 原則として経費は申告できない。

コントラクターの特徴

  • 契約期間がある。(プロジェクトごと、または自動更新)
  • 多くの場合、Self-employed(自営業)の扱い。*1
  • 時間・週・月などで報酬が決まっている。
  • 雇われていないので有給休暇等はない。
  • 所得税・GST(消費税)を自分で申告する。
  • 税務上必要経費が認められる。

同じ能力・仕事内容で、パーマネントに比べてコントラクターのほうがどのくらい収入が多いのか、ぼくにはよく分からない。倍くらいじゃないかと言う人が多い。分野によっても違うけれども、仮に経験5年くらいのアナリスト・プログラマのパーマネントの年俸が80,000ドルだとすると、同じ仕事をするコントラクターの時給が80ドルくらいだろうか。時給80ドルの人が週40時間、年50週働いたとすると160,000ドルになるから、まあ確かに倍と言えば倍だ。

どちらを選ぶかは個人の自由だ。パーマネントの方が社会的地位が上だとか、パーマネントでないと結婚できない(?)とかそういうことはない。昨年一時期のリセッションの時には、契約が切れたコントラクターが次の仕事が見つかるまでに間があいてしまったり、契約更改で単価ダウンを強いられた人がいたと聞いたが、また景気も上向いてきて、IT業界ではあまりそのようなことはない。絶対ないとは言えないが、それはパーマネントでも同じことだ。

これから移住する人の注意としては、せっかくITエンジニアならばSkilled Employmentとして永住権が取れるのに、Self-Employedでは原則として認められない点だ。*2だから最初はパーマネントの仕事を探した方が無難だ。別にパーマネントであっても、2-3年で転職するのは普通だ。数年で辞めて次のことにチャレンジしても普通は構わない。*3

ぼくは今はコントラクターだ。就職活動をしているとき、大きな会社のコントラクターと、小さな会社のパーマネントと同じ日に面接を受け、どちらも感触がよかったのだけれど、コントラクターのほうが結果が出るのが早かったので、パーマネントの方はあきらめたのだ。

今のチームはリーダー以外全員コントラクターだ。コントラクターは言われたことだけやっていればよいのに対し、チームリーダーは自分の仕事以外に目標設定だの、マネージャーとの面談だのがあって、ちょっと面倒そうだ。

今日は予告と違う内容だったけれど、これでおしまい。

*1:派遣元の会社に雇われる形を取るコントラクターもいるので、必ずコントラクターが自営業とは限らない。

*2:文字どおりに解釈すると該当しないが、どんな場合でも本当にダメなのかどうかは、ぼくは移民コンサルの専門家ではないので知らない。

*3:永住権が取れたからといって数か月ですぐ辞めるのはマズイと思うけれど。