スチューデントローン完済

IRD(税務署)からの手紙を開封したら、「あなたはスチューデントローン(奨学金)の返済が終わったので、もう払わないでください。」という通知だった。
長いコースではないが、今の仕事を見つける前に、学校に通っていたことがある。すでに永住権を取っていたので授業料はそれほど高くはなかった。ニュージーランドの学校は国内料金と留学生料金に著しい違いがあることが多い。しかも国内の学生はほぼ全員がスチューデントローンを利用しているだろう。
このスチューデントローンというのは日本の奨学金と違い、成績や家族の収入は関係なく、NZQA認可のコースを受講する人ならば誰でも利用できる。授業料全額のほか生活費も借りられる。卒業後も国内に住んでいればその間の金利も全額補填してくれる(つまり無利子)。借りない方が損というものだ。
ベネフィットの類は永住権を取ってすぐの人は利用できず、2年経ってからということが多いのだが、今のところスチューデントローンは永住権を取ったばかりの人も利用できる。
スチューデントローンの貸し出し業務をしているのはStudyLinkという政府機関だが、卒業後債権はIRDに移管され、返済金は所得税等と一緒に徴収される。
返済額は、残高に関係なく一定の収入*1を超えた分の10%とされている。だから卒業後も仕事がなく、収入がない人は返済する必要はない。ちゃんと卒業後にしかるべき仕事についた人だけ、収入に見合った分だけ返済するのである。
これは給与所得者の場合、給与支払者が源泉徴収するので逃げようがない。会社に雇われるときに、雇用主にスチューデントローンがある旨を申告すると、給与支払担当者が給与支払額に応じて、所得税と一緒にスチューデントローンの返済額も天引きしてIRDに納めてくれる。
冒頭の「もうスチューデントローンを払わないでください。」というのは、雇用主等にその旨を申告して、天引きを止めてもらうようにしてくださいということだ。
ぼくらのようなコントラクターは自営業者なので、所得税等の源泉徴収はないが、日本と同様、前年度の申告額に応じて所得税の予定納税の制度があり、スチューデントローンもそれに準じて前年度の収入に応じた予定納付をしなければならない。*2
よくできているように見えるスチューデントローンの制度だが、この国では学校を出た後、海外に行ってしまう人が多い。海外に行ってしまうと、強制的にスチューデントローンを返済させる制度がないため、海外にいる人の分の滞納が大変多いのだそうだ。
対策は難しいと思うが、その一つとして、永住権を取ったばかりの人は利用できなくなるというのも検討中というニュースの記事を最近見たことがある。というもオーストラリアの市民権か永住権のある人は自動的にニュージーランドの永住権が取れるので、(関連記事:何か不公平)この制度を悪用して逃げてしまうことが可能だからだ。

*1:2010年度は19,084ドル

*2:予定納付の額も残高に関係なく決められるので、返済の最後の年には予定納付の額が残高を上回るという変なことが起きた。