仕事を探す(その6 エージェントとの面接)

前回まででジョブエージェントとのアポイントが取れたとする。

レセプションに来社の旨と担当者の名前を告げると、たいては小さな会議室に通され、待っている間エントリーフォームを書くように言われる。そこで、

  • 氏名・住所・電話番号
  • 資格(学歴など)
  • 希望する給与
  • NZで働ける資格(永住権がある・○年○月までワークビザがある)

などなど、CV等に記入し、電話でも聞かれたことをまたここでも記入し、「上記内容は事実です」「内定後に調査されることを同意します」のような内容にサインをする。

そのうちに担当のエージェントが出てくる。

ジョブエージェントはクライアント企業からJob Descriptionを預かっている。募集するポジションの概要、必要な経験・能力、提供される待遇などが書かれたものだ。

エージェントは、応募者のCV(履歴書)を見て、Job Descriptionとどれだけマッチしているかを見ている。

いくらマッチしているからといって、そのままスルーでクライアントに紹介してはいけないらしく、必ず本人と面接をして、大丈夫そうな人であること確認してから紹介される。

エージェントのと面接で聞かれるのは

  1. 前回の記事で述べた転職理由や待遇に関する質問
  2. 経験・能力等のスペック
  3. 人物に関する質問

である。

1は前回と同じ。

2で気をつけたいのは、IT業界のリクルートを専門とするエージェントだからといってITの専門家ではないということだ。だから、ITエンジニアにととっての当たり前のことも相手が知っていると思ってはいけない。Aを知っているからBはできて当たり前というようなことでもちゃんと説明しないいけない。

たとえば、
「ASP.netの経験は何年ですか。」
「3年です。」
という話をしたそばから、

「今度のプロジェクトはWebアプリケーションなんですが経験はありますか。」

などと聞かれたりする。(ASP.NETは、Microsoftが開発・提供しているWebアプリケーションフレームワーク)

2番目の質問を聞いてくれたからよいようなものだが、聞いてくれなかったら、Webアプリケーションの仕事が他にあったときに紹介してくれないかもしれない。だから、Job DescriptionにありそうなキーワードはくどいようでもなるべくCVに入れておき、面接でもちゃんと説明した方が良い。ASP.netだけでなく、SQL Server、HTML、CSS、Javascriptとか、当たり前だと思っても(またはそんなに専門ではなくても)入れておくのがよい。

どういうキーワードがよくありそうかは、普段からよく求人広告を見て研究しておく。

逆に技術関係の理解を問うような質問はない。「.NET Framework 4の新機能で期待しているのは何ですか。」みたいなことはここでは絶対に聞かれない。

このような技術的に何ができるかの質問は、自分の専門であるからわりとうまく答えられたとしても、難しいのは3の人物を見る質問だ。たとえばこのようなものだ。

  • Describe how you have worked to support a team member recently.
    (あなたがチームメンバーをどうやってサポートしているか説明してください。)
  • How have you expanded your knowledge or technical understanding recently?
    (技術力向上のために何をしていますか。)
  • What motivates you in your career and what are your goals in the next 12 months?
    (何をモチベーションにしていますか。今後1年の目標は何ですか。)
  • Tell me about a manager you enjoyed working for.
    (あなたが一緒に仕事をしていて楽しい上司とはどのような人ですか。)
  • Please describe your preferred organisational culture and work environment.
    (あなたが望ましいと思う企業文化や職場環境を説明してください)

基本的に内容は何を答えても、それによって紹介される企業が変わったりすることはないと思う。しかし、ぜんぜん答えられないような人は、次の企業での面接も通らないだろうと判断されるかもしれない。全く何を答えたらよいか見当がつかない人は、あらかじめこういう質問集を見て、答え方をシミュレーションしておいた方がよいだろう。

これらの質問に答えるとはじめて、
「応募いただいた仕事はあなたには合わないと思います。他にあなたに合う求人があったら連絡します。」
のように言われるかまたは、
「いくつかあなたのスペックに合う求人があるので、あなたの情報を企業に送りますがよいですか。」
のように言われる。

上でも述べたように、このような面接をしないとエージェントは応募者のCVをクライアント企業に送ってはいけないらしいのだ。そこで上の質問が書かれたフォームをメールで送ってきて、「記入して送り返してください」のようなことを言う手抜きのエージェントもいる。あるいはあらかじめ日時を決めて、電話面接という場合もある。

ともあれ、このようなプロセスを経て、CVが求人企業に送られる。次回は、いよいよクライアント企業との面接の話。