電車が遅れるとお金が返ってくる

今日は就職活動の話はお休みして、最近のウェリントンの話題から。

ウェリントンには通勤電車がある。ぼくも毎日電車通勤だ。

一見して鉄道の設備は老朽化している。木製の架線の支柱を見るたびにこれは1930年代に電化されてからずっとそのままなのではないだろうかと思っている。電車(車両)も1950年代製のものと1980年代製の2種類が走っている。日本の地方鉄道のような感じだ。

それでここ数年かけて全面的に近代化の工事が行われている。韓国製(日本との合弁らしいが)の新型電車が今年中ごろからデビューするのに備えて、電気設備の増強や、一部の駅のホーム改修など。ついでに電車区間の延伸や、複線化延伸工事、ウェリントン駅(行き止まり式だ)の入線混雑解消のための軌道増設などもあわせて行われている。

工事のための夜間や週末の計画運休は事前に通知されているのでよいのだが、作業の手違いなのか、そもそもの設備の老朽化によるものなのか、電源トラブルやポイント故障などのトラブルが相次いでいる。

先週と今週にも続けて3回も大規模な「カオス」が発生した。先週はラッシュアワーに1時間も車内に閉じ込められた人がいたと報道されている。

新聞やテレビでは他に国内のニュースがあまりないので、その都度大きく取り扱う。インターネットのニュース記事についているコメントを読むと、「全くひどい目にあった」「仕事に遅れた」「もう電車には乗らない」「いつものことだ」というようなのはお約束でよくあるとして、「日本の電車に乗ったことがあるが定時運行ですばらしい。見習うべきだ」というようなのもいつもある。

じゃあ、毎日東京の電車で通勤してみろよ

と言いたい。(言わないけど)

東京でもラッシュアワーには電車は定刻では走っていない。遠くから乗り入れてくる電車の遅れを待ったり、接続電車の遅れを待ったりする自然遅延。電車を等間隔で走らせるための意図的な時間調整。路線にもよるが、設備や車両の故障だってよくある。何よりも毎週月曜日に多い「人身事故」にはうんざりだ。路線にもよるが東京と比べて特にウェリントンの電車の方が故障率が高いようには思えない。

何よりも東京のラッシュアワーの電車は殺人的な混雑率のスシトレインだ。ウェリントンの電車は朝のラッシュアワーにターミナル近くの駅から乗っても、座れる。これは最初は驚いた。

ウェリントンの電車の話に戻ると、連日の遅延でマスコミと利用者からのバッシングを受けた鉄道会社の責任者は、「利用者にCompensation(補償)する」とアナウンスした。

その内容は、

  • 今週の金曜日は全線一日無料で乗り放題
  • 来月(3月)の定期券(定期券は暦月で発売される)は5%引き

とかなり太っ腹だ。

日本では、このような思いつきのように運賃を割引することはない。(たぶん役所の許認可の関係でできない。)不通区間や大きなダイヤ障害が発生したときには、振替乗車券を発行するなどして代替手段を提供する。しかし、払い戻しに関しては、特急料金は2時間以上遅延したときには払い戻しとか、列車の遅延により目的地に行くことをあきらめたら運賃は払い戻しするなどの規定はあるが、定期券などは災害などで5日以上不通でなければ払い戻しはないはずだ。(JRの場合だが、他社も似たような約款となっているはず)今回のウェリントンのケースではどれにも当てはまらない。

実は以前、昨年の冬にも同じようなことがあった。暖房設備が故障している車両が多いことが指摘されて問題になったときにも、

  • 7月の第2・第4金曜日の午後は無料
  • 7月の定期券は5%引き

ということをやったことがあったのだ。

ぼくはいつも3ヶ月定期を買っているのだが、なぜか3ヶ月定期も5%引きにしてくれたので、ずいぶんと得したような気がした。7月分が5%引きなのであれば、3ヶ月定期は5% / 3ヶ月で1.66666%引きでなければならないと思うのだが、そうではないらしい。

今回はすでに1月から3月の3ヶ月定期を買ってしまっている。すでに定期券を買ってしまった人は窓口で割引分の払い戻しを受けられると報道されていたので、窓口に行ってみた。

定期券を出して、「割引分の払い戻しが受けられると聞いたのですが...」と全部言い終わる前に、「これに住所と名前とサインを」と言われて紙が出てきた。返金は16ドル。やはり3か月分に対しての5%だ。また同じようなことが3ヶ月以内にあったらどうするのだろう。

なんだかんだ言っても、電車は座って本が読めて、自分で運転しなくてよくて駐車代もいらない。これからも電車で通勤すると思う。