一時帰国のお得な両替方法は

うちは日本で住んでいた家を人に貸していて家賃収入があったので、以前は一時帰国のときに日本円を買うということはしたことがなかった。NZに住んではや7年。その間には1NZドルが97円になったこともあるし50円になったこともあるが、なにしろ自分が両替をする必要がなかったので、あまり両替のレートで煩わされることはなかった。
しかし、以前の記事を読んでくださっている方はご存知のとおり、賃借人が退去して家は売却したので、日本円の定期収入はなくなり、多少は残してはおいた日本の口座の残高もさびしくなってきたため、買い物や一時帰国のためにとうとう日本にお金を送る方法を考える必要が出てきた。
NZで得たNZドルの収入を日本の日本円の口座に両替・入金する方法はいくつか考えられる。レートがよくて手数料(両替手数料・送金手数料)の安いところはどこなのだろうか。

為替レート(仲値)というのは刻一刻と変化し、この先上がるか下がるか、いつ両替するのがよいのかというのは誰にも分からないが、少なくとも同時点で比較してNZ$/円の数字が大きい金融機関で両替するのが有利である。1ドルのレートが1円高いところで両替すれば、それ以外の手数料等が同じならば1000ドル当たり1000円多く受け取れることになる。

NZの銀行でNZドルを円に両替して国際送金してもらう。

執筆時点でANZのT/T(電信送金)レート(Bank Sell)は73.49、Kiwibankは73.33である。現金に両替しない限り、両替してもらったところで必ず送金もしてもらわなければならない。国際送金の手数料は、窓口とインターネットで異なるが、インターネットで頼むとANZは18ドル。Kiwibankで20ドル。これ以外に中継銀行で手数料を徴収されることがある旨の注記があるが、日本で外国為替を取り扱う主要銀行に日本円を送金するときに、中継銀行を経由することはないだろう。個人的にこの方法で表記以外の手数料を取られた経験はない。

NZの銀行からNZドルのまま日本の銀行の外貨預金口座に送金し、日本の銀行で両替してもらう。

伝統的な邦銀ではあまりNZドルのレートはよくない(執筆時点で東京三菱銀行のTTBが72.92)が、日本は何かと競争が激しいのでたとえば新生銀行のように(執筆時点で74.40)という魅力的なレートを提供しているところもある。日本の銀行は(NZと異なり)海外送金を受け取るときに手数料を取ることはまずないよう*1なので、この方法は魅力的なように見える。しかし、中継銀行で手数料を徴収されることがあり、それがいくらかかるのか実際に送金してみないと分からない。以前かなりの金額を取られて多少のレートの差では割に合わなかったことがある。一度中間手数料を取られない銀行を見つければベストな方法かもしれないが、それまではリスクが大きい方法ではある。

FXの会社の送金サービスを利用する。

為替レートをインターネットで(英語で)検索するとオンライン為替トレードの会社がよく上位に出てくると思う。ここでは紹介しないが、それらの会社のサービスをよく読むと、国際送金を有利なレートで取り扱うことを売りにしているものがいくつかある。(主にアメリカやその系列のオーストラリアの会社だ。)見積を取るために、いくつか口座を開設したことがあるが、金額が小さい(1万ドル以下など)ときには意外とレートや手数料が銀行に比べて有利でなく、利用したことはない。

ここまで調べて意外なことに気づく。日本の銀行店頭の為替レートの表示などでは、

外貨現金買 > 外貨T/T買 > (仲値)> 外貨T/T売 > 外貨現金売

という表を見慣れていると思う。コンピュータ上で計算するだけの両替に比べて、キャッシュの両替は金融機関の輸送・保管コストがかかるため、売/買ともに顧客の負担が大きくなることは納得できる。
ところがニュージーランドではそうではないのだ。ちょっと気づきにくいがニュージーランドの銀行では、

外貨現金買 > 外貨T/T買 > (仲値)> 外貨現金売 > 外貨T/T売

なのだ。
執筆時点でのANZは、

Bank Buys(TT) 76.54、Bank Buys(Cash) 79.18
Bank Sells(TT) 73.49、Bank Sells(Cash) 73.60

同じくKiwibankは、

Bank Sells(TT)73.33 Bank Sells(Cash) 74.08

とうことで、外貨(ここでは日本円)を買うときにはなんと電信送金よりもキャッシュのほうがレートがよいことになる。(外貨をNZドルに両替するときには日本同様、キャッシュのほうが不利。)ちなみに同時点での東京三菱銀行は

CASH S. 83.62、TTS 76.92、TTB 72.92、Cash B 66.22

となっている。
なぜそうなっているのかは知らない。想像だが、たぶんNZは外貨キャッシュを持ち出す観光客よりも、外貨キャッシュを持ち込む観光客のほうが多いので、外国の金融機関から取り寄せなくても国内に外貨キャッシュが余っているのではないだろうか。*2

現金の両替にはレートの利ざや以外にコミッション(両替手数料)がかかる。銀行によって異なるが1%や1.2%などで、小額の場合にはミニマムチャージが適用になり7ドルか12ドル程度かかる。

現金は自分が帰国するときに腹巻の中にでも入れておいて、成田なり関西空港なりに着いたら空港にあるATMで日本の銀行の口座に入金すれば、送金のコストはかからない。

送金の手数料は送金する金額にかかわらず定額というのが普通だが、両替のコミッションは、ミニマムチャージを超えると%でかかるので、両替する金額が大きいとかなりの金額になる。キャンペーンや口座保持者の優遇措置などがないかどうかよくチェックした方がよい。両替のコミッションが免除にならない限り、金額が大きいときにはやはり電信送金した方がトータルでは有利だろう。

*1:東京三菱とかは取るそうです。新生は取られない。

*2:それなら日本では逆に外貨買取(の利ざや)はもっと安くてもよいと思うが、そこはまあ日本はいろいろ市場原理が機能しない国なので。