二重国籍の子どもが日本に入国するとき

来週は家族で日本に行ってくる。

昨年4月にニュージーランドで生まれた子どもを連れていくのは2回目だ。

永住権のある親からニュージーランドで生まれた子どもはニュージーランド国籍がある。だからうちのムスメもニュージーランドのパスポートがある。

ニュージーランドのパスポートを取るのは簡単だ。写真と一緒に申請書を郵送すれば1週間くらいで送られてくる。国内で出生届を出した人は、出生証明などを添付する必要はない。出生記録を管理している官庁がパスポートの発行もしているからだ。

それに比べて日本のパスポートを取るのは申請者の負担が大きい。原則として本人が2回窓口に出頭しなければならないし、戸籍謄本を自分で取得して添付しなければならない。海外でも在外公館でパスポートは取れることになっているが、海外にいながら戸籍謄本を取ることは事実上できない。

各市町村役場では郵送で戸籍謄本が取れるが、申請料の支払手段が、日本の郵便局でしか購入できない定額小為替に限られているし、返信用に日本の切手を貼った封筒もつけなければならない。プライバシーの関係で関係のない代理人には送らないので、元気で関係が円満な親などの親族が代わりにやってくれるという人以外、海外に住んでいる人が戸籍謄本を取ることはできないと言ってよい。

だから、生まれたばかりの子どもが初めて日本に帰るときにパスポートを取ることは難しい。

海外で生まれた子どもを連れて日本に入国するときには、みんなどうしているのか、ネットで検索してみると、たとえ二重国籍でも日本人が日本に入国するときには日本のパスポートを使わなければならないと、まるでそうしない人を法律違反だとばかりに、目くじらを立てる人を時々見受ける。

それは正論かもしれないが、そういう人は親がまだ若くて元気で、戸籍謄本を取って海外に送るなんていう面倒なことも、かわいい子どもと孫のために文句も言わずにやってくれる恵まれた環境にいる人なのだろう。

そういう人はむしろ少数かもしれない。海外に移住するなどというのは、まだ日本では親の世代の期待に沿った理想的な生き方とは限らない。親から喜んで送り出された人ばかりではあるまい。国際結婚を反対されて駆け落ち同然に出国して来た人も決して少なくないだろう。

ともかく、日本のパスポートがないのだから、子どもだけニュージーランドのパスポートで外国人として入国しなければならない。90日の短期の滞在許可しか出ないが、そんなに長い休暇をとることはできないので、全然問題ない。

ぼくの疑問は、両親二人は日本人で、子どもだけ外国人という場合、入国審査の列は外国人と日本人のどちらに並ぶかということだった。まだ歩けない赤ちゃんが一人で外国人用に並ぶことはできない。もちろん通常日本人用よりも外国人用のほうが待ち時間が長い。

次のうちどれかではないかと予想した。

  1. 特例として日本人用で全員やってくれる。
  2. 全員外国人用に並び、日本人も外国人窓口でやってもらう。
  3. まず親が日本人の窓口で入国審査を済ませてから、あらためて子どもを連れて外国人用に並びなおす。

このようなケースはよくあるはずなので、きっとネットに答えがあると思ったのだが、納得のいく答えは見つからなかった。しかし、行列の整理をしている人が必ずいるので、その人に聞けば分かるだろうと思った。

正解は、どれでもなかった。

日本人用でも外国人用でもなく、一番端っこのCREWと書かれている優先窓口に誘導された。待ち時間はゼロ。

窓口ではもちろん日本のパスポートを取っていないことをヒナンされたりはしなかった。

「戸籍謄本はないですか。戸籍謄本があれば日本人扱いになるんですが。」

と残念そうに、短期滞在の「上陸許可」のシールをパスポートに貼ってくれた。

ということは、戸籍謄本があれば、ニュージーランドのパスポートに「帰国」のスタンプを押してくれるということだろうか。

明後日分かる。
つづく