ニュージーランドドルはいくらなの

このブログのようにニュージーランドの生活を日本の人に説明するとき、それって日本円でいくら、と聞かれることがある。また自分自身でも、価格の妥当性を判断するのに、日本円でいくらかをつい考える。

輸入や輸出をするときや、どちらの国でも同じものを買うときには、厳密な為替レートで換算する必要がある。しかし、収入と支出の大部分がニュージーランドドルで完結している人が、今日の為替レートで換算しても、ほとんどの場合あまり意味がない。

たとえば今月の電気代の請求が120ドルだったとして、それが今日のレートで7440円だったからだといって、それに何の意味があろうか。日本円の貯金から払うわけではないし、仮に東京電力と比較して高いかどうかを論じても意味がない。気候や家の大きさや家電製品の容量も違うので、日本とは使用量が異なるし、東京電力の電気がいくら安くてもここでは契約できない。

同じように、カフェのホットドリンクの値段が3ドル50セントで、それは日本円で217円だと言っても、意味がない。ウェリントンの濃厚なエスプレッソはウェリントンでしか飲めないし、抹茶ラテとかはウェリントンのカフェにはない。

なぜこんなことを言うかというと、このエントリを書いている時点で1ニュージーランドドルは約63円だが、変動の幅がとても大きいのだ。ぼくがニュージーランドに来た4年前から今までの間だけでも、2007年7月に97円を超え、2009年2月に45円を切ったことがある。最高値と最低値の間に2.15倍もの開きがある。同じ期間のUSD/JPYもユーロ/円も最高値と最低値の開きは1.5倍以下である。

「去年の誕生日のディナーは100ドルだったよ。」「それって日本円でいくら。」「うーん。1ドル45円だとすると4500円、97円だとすると9700円かな。」

これでは、高いのか安いのか分からない。

そもそも今の62円というのは高いのか安いのかも分からない。「1ドル63円とは安すぎる。これからきっと高くなるよ。」という人もいる。それは80円とかのときと比べて安いと言っているのであって、45円のときと比べたら高い。

企業の株価などと違って一国の為替レートは、その追加で生活している人がいるのだから、物価水準からみた適正レベルがあり、一時的に乖離してもいずれ収束するはずだという考え方もある。

デイトレーダーの投機的な流れによって日々の両替レートが変動しても、稼いでいる金額や物価がそれほど変わるわけではない。そこで、物価を基準とした「適正為替レート」を自分の中だけで決めておくことはできないだろうか。

英経済誌が発表する「ビッグマック指数」は有名だ。東京のビッグマックは今310円だろうか。NZでも地域によって違うけれど4ドル90セントだとすると、1ドルは63円。

よく江戸時代の1両は今の何万円みたいなときに基準で使われているのは米価。最近10kgの米は30ドルくらいなので、日本で3500円だとすると1ドルは116円。

Vodafone NZのiPhone 3GS 32GB(Handset only)は1379ドル。ソフトバンクで一括払いで買うと64800円。1ドルは47円。

物価だけでなく、賃金でも比較するとどうだろう。東京都の最低賃金が791円。ニュージーランドの最低賃金は12ドル50セント。1ドルは63円。

大卒の初任給は職種によって大きく異なり、適当な統計が見つからなかったのだけれど、プログラマだったらざっくり年50000ドルくらい。日本だと月20万でボーナスが年2ヶ月くらい?(適当)だったら1ドル56円。

来週の土曜日から1週間の予定でウェリントン−東京のエアーニュージーランドの往復航空券を航空会社のWebで買うと、2633.90ドル。逆に東京−ウェリントンを同じスケジュールで179,090円。1ドル68円。

東京駅まで電車で15分くらいの駅周辺の2DKの賃貸の相場はいくらだろう。月12万円だとする。ウェリントンだと2ベッドルームで週300ドルくらいかな。面積はだいぶ違うけれどそこは無視して、そうすると1ドルは100円。

最初の例であげた電気料金のうち電力量料金単価でみると、ウェリントンでは会社やプランによって多少違うけれどもウチでは1kWhあたり20.12セント。東京電力は月300kWhを超えた分は24.13円。1ドル120円。

うーん。ぼくは1ドル80円くらいを期待していたのだけれど、結論としてはいくらが適正なのかよく分からない。

今日は結論がなくてすみません。