TOEICって何?

日本にいるときは、何回かTOEICを受けた。1回目は690点。2か月後に受けたら760点。次の年に受けたら830点になってしまった。その間、多少学習ソフトで単語の暗記などはしたが、特に英語を使う機会があったわけではない。成績表に同封されている説明によると830点とは、
どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている
通常会話は完全に理解でき、応答もはやい。話題が特定分野にわたっても、対応できる力を持っている。業務上も大きな支障はない。正確さと流暢さに個人差があり、文法・構文上の誤りが見受けられる場合もあるが、意思疎通を妨げるほどではない。
ことになっているが、断言する。絶対にそんなことはない。ぼくは無理だ。今でも無理だ。

ニュージーランドに来て気づいたのだけれど、TOEICはおそらく事実上日本独自の試験だ。いや、世界約60か国で実施されている世界共通のテストだというかもしれないけれど、語学学校で実施しているだけで、普通の学校や企業やイミグレーションの人が知らないのでは意味がない。こちらの英語学校に少し通ったときに周りの人に聞いてみたことがあるのだけれど、知っているのは韓国人だけだ。中国人も知らない。英語学校の人ですら知らない人がいる。(中には対策コースとセットでTOEIC試験を実施する英語学校もある。だからニュージーランドも世界60か国に含まれる。もちろん短期の語学研修に来る日本人と韓国人が対象だろう。)

TOEICが日本の企業でよく使われていることは間違いない。だから日本の会社に就職したり、日本で転職したりするときにはTOEIC試験は役に立つだろう。しかし、ニュージーランドに移住するときには全く役に立たない。これから移住しようとする人が、TOEICの試験対策などをするのは時間の無駄だからやめたほうがよい。だいたい日本を脱出しようというような人が、政府の天下り団体の利益に貢献する必要はない。

ニュージーランドの大学やイミグレーションで英語力の証明として使えるのはIELTSだ。学校に入るときには、すでにTOEFLを持っている人はそれでも認めてもらえるかもしれない。私立の専門学校ならばTOEICでも認めてもらえることもある。だからといってTOEFLやTOEICの試験対策をするのはやめたほうがよい。永住権審査でイミグレーションが受け付けるのは、IELTSだけだ。後からIELTSの勉強をするなら学校に入るときに初めからやっておいたほうがよい。

日本では最近IELTSは英検と業務提携するなど、がんばってはいるが、やはり対策の教材や講座などはかなり限られているだろう。逆にニュージーランドではIELTS対策コースがない英語学校というのはないと言ってよい。IELTSはスピーキングとライティングのウェイトが高いので、独学では限界がある。面接の練習やライティングの添削を、IELTSのことをよく知っている指導者にやってもらえると効果が大きい。

だから、移住したいけれど英語がもう一歩という人は、ニュージーランドでIELTSの対策講座を受けるのも一つの方法だと思うよ。