永住権があると何がいいのか

あくまでもニュージーランドの「Permanent Residency」の話。

  1. 期限なくいつまで滞在していてもよい

学生ビザならば、学費を払わなければならないし、ワークビザならば雇用主に書類作成をお願いしなければならない。そしてまたいつか切れる。

永住ビザも、最初にもらえる永住ビザは2年後に切れるので、その間定住していれば無期限のものに切り替えてもらう。それからビザが貼ってあるパスポートを更新したときには貼り替えを申請しなければならない。でもそれらは機械的な手続きで、リジェクトされることはないから、何の不安もない。やらなくても一時帰国など海外旅行に行かなければ何も困らないし、不法滞在になるわけではない。

  1. 転職するのも起業するのも自由
ワークビザだったら仕事をやめたら、ビザが切れるまでに次の仕事を探さなければ、原則として帰国しなければならない。だから多少職場に不満があっても我慢している人もいるかもしれない。

永住ビザならばいつ会社を辞めてもよい*1。退職して学校に通って、永住権を取ったときと異なる専門分野に転職しても構わない。

コントラクター(関連記事:仕事を探す(その7 パーマネントとコントラクター))になってもいいし、独立して会社を作ることだってできる。

  1. 学校が安い
専門知識があるから永住権が取れた人でも、さらに高度な学歴を取りたいとか、キャリアチェンジをしたいとか、家族が仕事を見つけるために学校に行ったりとか等の理由で専門学校や大学に行くことができる。永住ビザがあれば留学生料金よりも安い国内料金になる。

私立の専門学校ではそれほど変わらないこともあるが、大学やポリテクニックだと3分の1くらい、コースによっては無料というものもある。

  1. 公立病院が無料
どこの地域にも拠点の公立病院がある。病院はGPなどの一次医療機関が手配してくれたときだけ行くところだ。GPはコンサルティング料を取るが、いったん病院に送られれば一切お支払はなし。病院にお会計のカウンターはない。

学生ビザなどや短期のワークビザの人が病気で病院へ送られたときは有料だ。もっとも旅行者や学生ビザの人だったら海外旅行保険に入っているはずだからどうせ医療費はかからない。私立の設備のよいところに送ってもらうとよい。

それからニュージーランドは怪我をしたときにはビザの種類に関わらず、誰でも医療費は払わなくてよい。ACCという公的保険が払ってくれる。

  1. 出産が無料
上と似ているけれど出産も普通にMidwifeさんに頼んで、公立病院でお産をするのならば、費用はかからない。

  1. 子どもの公立学校が無料
親に永住権か長期のワークビザがなければ子どもは公立学校でも留学生扱いで有料。
  1. 選挙権がある
なんとニュージーランドには今日本で話題の外国人参政権がある。ぼくはこれが当たり前だと思っていたら、実はニュージーランドのような国の方が珍しいらしい。

永住権のある人は選挙人名簿への登録が義務付けられている。選挙人名簿というのは、日本と違い、市役所などの登録から自動的に作られるのではなく、自主的に郵送で登録をする。住所が変わったときにもその都度本人が届ける。

登録は義務だが、投票そのもののは強制ではない。棄権する権利もある。

MP(国会議員)の選挙は日本と同じように、原則として決められた日に投票所まで行かなければならないが、地方選挙は基本的に郵送投票だ。

なお、さすがにMPに立候補するには永住権ではダメで、国籍が必要らしい。

  1. クレジットカードが作れる
クレジットカードがあるとオンラインの決済が便利。日本のクレジットカードを使うと日本の銀行の残高が減ってしまう。だからNZドル建てのクレジットカードがほしくなる。

クレジットカードの入会資格に永住権が必要ということが多い。でもチェックされずに入れてしまうこともある。

最近はVISAやMASTERのデビットカードが出てきたので、クレジットカードがないとオンライン決済ができないということもなくなってきた。デビットカードならば与信の必要がないので、永住権はいらないだろう。(たぶん)

似ているけれど住宅ローンの条件にも永住権がある。海外の投資家向けのローンというのも別にあるらしいけれど。

  1. コミュニティカードが作れる
GPで見せると医療費が安くなったりするもの。家族の人数によって一定の所得以下の人が対象。

  1. Japan Rail Passが買える
日本に帰ったときにJRが乗り放題。短期滞在の外国人と海外の永住権がある日本人しか買えない。

  1. 独身男性ならもてる(かも)
永住権を取るには、自分で学校を出て仕事を見つけたりするほかに、「国籍か永住権のある人と結婚する」という方法がある。この国に滞在している日本人のうち、ワーキングホリデーの女性はかなりの割合を占める。(男子もいるけれども女性の方がずっと多い。)ワーキングホリデーということは31歳以下なわけで、基本的には独身で、昔風に言えば結婚適齢期だ。ワーキングホリデーの人が皆残って永住を希望しているとは言えないけれども、もちろんチャンスがあれば、という人が大半だろう。

そんなところに独身で永住権のある人が現れたら、結婚相手の対象として、本来の魅力に50ポイントくらい(適当)ボーナスポイントがついて、EOI*2をパスしたりしてしまうのではないだろうか。

日本人の中だけで見れば、潜在的に永住を希望する独身女性の人数に比べて、永住権のある独身男性というのは圧倒的に少ない。だから日本で非モテだった人も、ニュージーランドで永住権があれば、注目度は上がるのでは?

まあEOIでセレクションされても、その後の本審査に時間をかけて、お互い冷静に相手を評価してください。

*1:永住権を取ったときの会社に最低3か月いなければならない。しかし普通は永住権が取れるまで3か月以上かかるからあまり関係ない。

*2:Express Of Interest 永住権の一次審査のこと。ここではもちろん比喩ですよ。