仕事を探す(その3 非常に技術者が不足している分野)

あなたがニュージーランド移住を目指していて、

  • ITエンジニアとして3年以上の経験がある
  • 情報関連を専攻して大学を出ている

のであれば、今日説明する方法を参考にしてほしい。

それ以外の人には今は役には立たないが、数年後に移住する計画であれば、いまからでも上の二つの条件を満たすことができるかもしれない。

ニュージーランドでは原則として、学歴があって、その学歴と関連のある仕事が決まっている人に永住権が出ると前に説明した。

例外として、Work experience in an area of absolute skills shortage「非常に技術者が不足している分野での職歴」がある場合には、仕事が決まっていなくても、EOIとよばれる一次審査を通過する可能性がある。

一次審査をパスして、本審査の結果、永住ビザがもらえればもちろんそれで就職活動ができる。しかし、最近では仕事が決まっていない人には、永住ビザはいきなり出さずに、永住ビザの前提となる特別なワークビザが出ることが多いそうだ。つまり、本当に仕事があるかどうか一定期間就職活動をしてみて、仕事があれば永住ビザに切り替えますよ、だめなら帰りなさいと、そういうことだ。

いずれにしても働けるビザが手に入って就職活動ができる。これはビザがない人に比べて大きなアドバンテージだ。

申請して審査してもらっている間は何ヶ月もかかるが、その間は日本にいて、いままでどおり仕事をしていてよい。ビザが取れるあてもないのに、会社を辞めて渡航してしまうのに比べて、これも大きなアドバンテージだ。ダメだったときに失うものが少ない。

それでは、どういう人が、仕事が決まっていなくてもEOIにパスするのだろうか。
まずニュージーランドの技能移民部門の永住権におけるポイント制度について説明する。
原文はこちら
http://www.immigration.govt.nz/pointsindicator
日本語の解説サイト
http://nz-eijyu.com/shindan.htm

他にも永住権の審査にポイント制を採用している国はあるが、ニュージーランドの制度でポイントになるのは、学歴、職歴、仕事と年齢だけだ。英語は一律IELTS6.5以上でポイントとは関係ない。

100点以上でEOIが提出できる。2週間ごとにEOI提出者の中からセレクションが行われ、選ばれた人だけが本申請できる。140点以上の人は必ずセレクションされ、本申請に進める。
140点以上の人だけで必要な人数が足りなかったときには、次の順序で選ばれる。

  1. 100〜135点で、NZでの仕事が確定している人
  2. 100〜135点で、技術者が不足している分野での職歴ポイントが15点以上の人
  3. 100〜135点で、技術者が不足している分野での職歴ポイントが10点以上の人
  4. 100〜135点で、技術者が不足している分野での学歴ポイントが10点以上の人
  5. 100〜135点で、雇用が確定しておらず、技術者が不足している分野での職歴及び学歴もない人

基本的に仕事が決まっていれば50点で、関連する学歴があれば30点なので、それだけで100点になる。(それ以外にも年齢ポイントが加算されるし、ITで仕事が決まっているとさらにfuture growth areas「発展が期待される分野」のボーナスポイントが加算される。)

過去のセレクション状況によると、140点以上の人だけしか選ばれなかったことはほとんどなく、ほとんどの回で上の1番は選ばれている。

History of selection points
http://formshelp.immigration.govt.nz/SkilledMigrant/ExpressionOfInterest/HistoryOfSelectionPoints.html

だから、学歴があって、その学歴と関連のある仕事が決まっている人に永住権が出ると言って差し支えない。

また、必ずではないが、たいていの回では2番や3番まで行っている。5番までいくことはまれである。

それではどうしたら、「技術者が不足している分野での職歴」があることになるのかというと、Long Term Skill Shortage Listというのに載っていることとなっている。

そこで、IT関連の職種は全て、
Bachelor Degree (Level 7) qualification majoring in computer science, information science or information technology AND three years of relevant work experience
となっている。

つまり、このエントリーの最初に書いたことだ。

日本ではITエンジニアとして活躍している人の中には、経験は十分あっても大学を出ていなかったり、出ていても専門が情報関連でない人が多い。

でも、もし学部名は違っていても、情報関連を専攻していたという証明ができるのであれば、チャレンジする価値はある。

経験はあるけれども、情報関連の学歴がないという人は、前回の記事で書いたように、やはりニュージーランドで1年でも学校に行った方が良い。

日本と違い、ニュージーランドのような欧米社会では、ITでプロフェッショナルな仕事をする人が学校を出ていないということはありえないからだ。医学部を出ていない医師や、法学部を出ていない弁護士がありえないようなものだ。もし面接をパスしても、内定後の調査のときに学歴が証明できないと厄介なことになる。

学校は出ているけれど、経験がないか、短い人は、もう少し我慢して日本で3年の経験を積んで、日本で永住権を申請してから渡航した方が安全だ。

タイトルは「仕事を探す」なのに、永住権の取り方の話ばかりになってしまった。でも最初に言ったように「仕事イコール永住権」なので、仕事探しのために渡航する前に、永住権のルールを知っていた方がよい。

永住権の話はとりあえずここまで。次回は違う話をする予定。