妻の出産で男性は何日休めるか

昨年4月に我が家の第1子が生まれた。

落下傘のように二人だけで移住してきて、周りには頼れる親族はいない。里帰りもできないし、どちらかの両親が手伝いに来ることもない。

2週間の休暇をもらった。周囲を見る限り、2週間というのは最低限で、当然の権利のようである。

出産後母体は安静が必要であるし、何しろ赤ん坊というのは非常に手がかかる。しかも初めての子どもで、何かと要領がわからない。アンテナタルクラス(両親学級)に参加しても、本やインターネットを読んでも、オムツの替え方やお風呂の入れ方は実際にやってみないとわからない。

日本のように1週間も病院で預かってはくれない。出産の翌日に退院したので、ミッドワイフ(助産師)が最初の1週間はほぼ毎日、その後も頻繁に来てくれ、指導や、母子のチェックをしてくれた。

はっきり言って家にいるほうが会社にいるより何倍も忙しい。会社ではいったん始めた仕事に集中できるが、家事は鍋に火をつけたと思ったら、赤ちゃんが泣き出すなど、いろいろ同時進行である。

来週から職場復帰というとき、まるで非難するように「たった2週間しか休まないの」と、ミッドワイフに言われたのが印象的だった。

後に11月に、うちのチームリーダーに第2子が生まれたときには、シザリアン(帝王切開)だったこともあり、3週間休んでいた。二人目の時にはやり方はわかっているから楽だけれども、シットする上の子の面倒も見なければならないから、トータルでは一人目のときと同じくらい大変だと言っていた。

日本の育児雑誌や、育児本を見ると、刊行から日が経っていない新しい本でも、「ママやパパが」ではなく「ママが」とか、「両親が」ではなく「母親が」という表現が目に付く。こっちだったら、そんな不用意な表現をするとクレームが来るのだろうけれど、なんだかんだ言っても、日本では育児は女性が主たる役割というのが社会的通念で、父親は「お手伝いしてくれてエライね」くらいの扱いのように見える。

日本にいる親族からも、「あぶなっかしいから父親に赤ちゃんをお風呂に入れさせない」とか、「男性がオムツを替えるのはオシッコのときだけ」というような、ぼくらにとっては???な話を聞く。

こういうのは最初が肝心だ。最初の2週間、たとえやり方がわからなくても、オムツ替えも沐浴も寝かしつけも、要は授乳以外全部やれば、職場に復帰した後も自然とそれが役割になる。最初に母親に全部やらせてしまうと、後から参加してもしょせん「手伝い」になってしまうのだと思う。

おかげでムスメは父親にも母親にも同じようになついている。日本にいたら取れなかった、2週間の休暇のおかげだと思っている。