ソーラーヒーターの見積が来た

中古の一戸建てに引っ越してから約1か月。NZでは日本ほどガスがあまり普及していないので、お風呂は電気ヒーターが普通。せっかくウェリントン市内では珍しい平らな日当たりのよいところに住んだので、屋根に電気温水器を設置すれば、お風呂のお湯がケチらずに使い放題、電気代が安くなれば数年で設置費用が回収できるのではないかと考えた。

インターネットで見つけた2社ほどに問い合わせフォームからコンタクトしたが、どちらとも自動返信メール以外待てど暮らせどまったくコンタクトはなし。「近くのサプライヤーから連絡がほしい」と両社に再度メールしたところ、ようやく1社から電話があった。

コンタクトしろと言うから電話してやったとでもいうような感じで、とても休日か夕方に来てほしいとは言えない雰囲気。とりあえず翌日会社を早退して、家に来てもらった。見積は家の中の電気温水ヒーターのタンクと、外から屋根を見ただけで5分で終了。後で見積を送ると言ったきり、ビジネスカードも連絡先も渡されず、それで終了。

2-3日後にPluming & Gas fittingの某社から手紙が届き、ああこういう名前の会社だったのかと分かる。

でもって見積はコミコミで6600ドル。高いのか安いのか分からないが、日本でも以前自宅に太陽熱温水器を入れたことがあって、それはタンクも込みで100万円くらいだった。今回はタンクなし(すでにある電気温水ヒーターのタンクに接続する)なので、そんなものと思えばそんなものかもしれない。

電気代の差額でいつ費用を回収できるのか知りたくなった。

早めにシャワーを浴び、電気温水ヒーターの電源を切ってみた。24時間後に再び電源を入れ、電源を切る前と後に電気メータの差を求めた。そこで電気ヒーターがなかったとすると一日の使用電力が約7kWhであることがわかった。いままでの電気代の請求書から、最近の1日あたりの平均使用電力は約17kWhであることがわかるので、その差は約10kWh。1kWhあたりの料金は約0.20ドルであるので、1日あたり2ドル程度の節約と考えられる。すなわち月60ドル。そこで金利を考えなければ初期投資6600ドルを回収するのに(6600 ÷ 60 = 110か月) 9年ちょっとということになる。

とはいっても金利約7%で住宅ローンを借りている身である。ここで6600ドルを投資しなければ、その分ローンが早く返せるわけで、これはすなわち6600ドルを金利7%で借りて、毎月60ドル返済するのと同じことである。それは何か月で返済が終わるのか。

これを普通の電卓で計算するのは難しい(たぶん)。ぼくはこういう計算はExcelでやってもらっている。この答えを求めるそのものズバリの関数はない(たぶん)。かわりにPVという関数がある。「現在の投資価値を返します」とかいう説明で、5つパラメータがある。利率、期間、定期支払額、あと2つなんかあるけれどブランクで構わない。

毎月払いとすると利率は年利7%を12で割って、0.005833。定期支払額は60。期間は分からないので、あたりをつけて適当な数を入れる。PV関数を置いたカラムに現在の投資価値すなわち元金の額(がマイナスで)が表示されるので、元金、すなわちこの場合は6600になるように適当に期間に数値を入れ直すといずれ結果が分かる。

このやり方はあまりスマートではないが、スマートな方法を考えるよりも早く結論が出る。

結論は約150か月。12.5年だ。

もっとも12年間電気代が同じであるはずはなく、従量料金も毎年上がるし、我が家の使用量そのものも増える可能性がある。それにしても回収するまでに相当長い時間がかかることは間違いない。

ソーラーヒーター導入の提案書を見て気づいたことがある。

お宅の北側の屋根(北半球の南側に相当)は構造物(使われていない煙突)があって、一部日陰になるので、西側の屋根に設置しましょう、というのだ。午前中にはお湯が沸かないが、お湯を使うであろう午後4時から午後10時間だけポンプを動かしてお湯をためればいいでしょう、という説明である。

なるほど我が家では洗濯や皿洗いにお湯を使う習慣はない。(一般に西洋人の家庭では衣類や食器をお湯で洗う。)朝シャワーをせず、寝る前にシャワーを浴びるのであれば、夕方の一定時間しかお湯はいらない。であれば電気温水ヒーターも24時間通電しておく必要はないではないか。

確かに、冷めたお湯を沸かし直すのには、エネルギーが必要だが、24時間保温しておくエネルギーには及ぶまい。日本では電気ポットでいつもお湯を保温しておくよりも、使うときだけ沸かした方がはるかに電気代が安く済むと言われている。だから我が家では電気ポットなど使ったことがない。2リットル程度の電気ポットの電気代ですら節約するのだから、180リットルの電気ポットを常に保温していたと考えると、これは確かに無駄だ。

さきに24時間電気温水ヒーターの電源を切る実験をしたとき、電源を再投入後1時間程度で十分熱いお湯が出ることが判明した。そこで今夜から温水ヒーターの電源は常時OFFにしておき、入浴の1時間前に投入することとした。ちょっと面倒だが、日本ならば入浴の前にお風呂を入れる何らかの作業をするのは当たり前だ。たかが電源スイッチを入れるくらいやろうではないか。

さて、これで1日あたりの電気使用量がどれくらいになるのか。1週間くらいこのライフスタイルでやってみてからメーターを見ようと思っている。