ニッポンの選挙に投票

NZでは地方選挙が近いとのことで、選挙人名簿の登録内容があっているかどうかの確認の手紙が一人一人に届いています。変更がなければそのままでよいのですが、間違っていたら連絡してくださいという趣旨のことが、誰でも一発で分かるように封筒に書かれています。

NZでは国籍がなくとも永住権があれば選挙人名簿に登録する義務があり、投票する権利があるのですが、私たちが国籍を有する日本国では考え方が違います。永住しているかどうかとは関係なく、外国籍の人には国政選挙・地方選挙ともに参加資格はなく、日本国籍があれば日本をどれだけ長く離れていても、国政選挙に参加することが(投票だけでなく立候補することもできることが今回のフジモリ氏の立候補で知られることとなりましたね。)できるのです。ですのでNZの永住権がある日本国籍者は両方の選挙に参加することになります。NZにも国外投票制度はありますが、長く離れていると投票権を失います。

日本国籍は日本で生まれただけでは得ることができず、親が日本国籍を有することが原則です。したがって日本政府は特定の血統を有する人の代表であって、そこに永住して納税し、行政サービスを受けている人の代表ではないということになります。

さて、参議院議員選挙です。なにしろインターネットの時代ですので、海外にいても、どうも与党に不利に不祥事が続いているとか、野党もせっかくのチャンスなのにどうもぱっとしないとか、全体としてだいたいの事情はよく分かっていますが、候補者の名前を書くとなると、個別の候補者のことはさっぱり分かりません。しかし、東京に住んでいても、地元の選挙区の候補者のことなどさっぱり分からず、投票所の前のポスターしか情報がないので、たいした違いはありません。

海外投票は、投票所の設けられる総領事館に行って期日前投票(不在者投票)と類似の手続きを踏む方法と、自分で投票用紙を郵送で請求し、郵送で投票する方法の二種類がありますが、どちらにしても、「最後に住民票があった地域の選挙管理委員会に投票用紙を送る」というのが大原則です。「海外選挙区」のような概念はないのです。

つまり、青森県ほげほげ村に最後に住民票があったならば、開票日までにほげほげ村選挙管理委員会に投票用紙を送り、その選挙区の投票として扱われるということです。その膨大な作業を外務省(とおそらく総務省)が代行してくれるのが総領事館での投票、自分で全部やるのが郵便投票ということになります。郵便投票の国際郵便代は本人持ちですから、投票所の設けられない地域の人(NZではオークランド、ウエリントン地域以外)で投票する人は非常に少ないでしょう。また、もちろん全国津々浦々の市町村役場でも、それぞれはわずかな海外投票者のためにマニュアルを見ながら、効率の悪い慣れない作業をしているのでしょう。もちろん間違いも多いことと思います。現に東京都某区から送られた私の「在外選挙人証」には選挙管理委員会の所在地(市役所の住所)欄が書き込まれておらず、(たぶんミスでしょう。)投票時にそれを封筒に転記するという総領事館での作業に支障をきたしました。

一生懸命働いてくださる全国の市町村や総領事館のみなさまにも申し訳ないのですが、「棄権しないで投票しましょう」とさんざん呼びかけられていた日本での投票に比べて、在外投票は「投票させてやっている」という意図が見え隠れします。本当にこんなに膨大な手間と負担をかけて、住んでもいない国の選挙に投票する必要があるのでしょうか。

せっかく投票権があるので、選挙に参加しましたが、こんな手間をかけて投票させてくれなくてもいいので、その分、日本に住んで日本政府に税金を払っている外国人が投票できるようにした方が、よいのではないかと思いました。

いや、世の中にはいろいろな考えの人がいるでしょうから、この程度にしておきます。